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大阪地方裁判所 平成3年(行ク)8号 決定

主文

一  本件申立をいずれも却下する。

二  申立費用は申立人らの負担とする。

理由

行政事件訴訟法二五条二項に基づく申立ては、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下「処分」という。)を対象としてのみ、これを行うことができることは同条項の文言上明らかである。そして、処分とは、行政庁が行う行為のうち、当該行為によって、国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効力を有するものをいう。

本件申立は、平成三年四月二四日にされた「機雷除去のため海上自衛隊掃海母艦外四隻の掃海艇、補給艦をペルシャ湾に派遣する。」との閣議決定(以下「本件閣議決定」という。)に従い、被申立人内閣総理大臣海部俊樹が、右同日、被申立人防衛庁長官池田行彦に対してした同趣旨の指揮命令、被申立人防衛庁長官池田行彦が、右同日、右指揮命令を受けて、被申立人自衛隊海上幕僚長佐久間一に対してした「海上自衛隊掃海母艦外四隻の掃海艇及び補給艦をペルシャ湾に向けて平成三年四月二六日出航せよ。」との指揮命令、及び、被申立人自衛隊海上幕僚長佐久間一が、右同日、右指揮命令を受けて、掃海母艦長、掃海艇長及び補給艦長に対してした同趣旨の執行命令の各効力停止を求めるものであり、その趣旨は、本件閣議決定を受けて、被申立人内閣総理大臣海部俊樹が、内閣法六条に基づく行政各部に対する指揮監督権限の行使としてした行為、被申立人防衛庁長官池田行彦が、自衛隊法八条に基づく指揮監督権限の行使としてした行為、及び、被申立人自衛隊海上幕僚長佐久間一が、同法九条三項に基づく防衛庁長官の命令の執行としてした行為の各効力の停止を求めるものと理解することができる。被申立人らが、右各法律の規定に基づき法令上付与された権限の行使として、どのような行為をしたのかについては、本件記録上、その疎明が十分であるとはいえないものの、右各権限行使の根拠規定の趣旨、性質にかんがみるならば、右各法令の規定に基づく被申立人らの行為は、上級行政機関の下級行政機関に対する指揮監督権限の行使たる性質を有するものであることはきわめて明らかであって、これが、国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効力を有するものとは認め難い。

申立人らは、被申立人らの右各行為によって、申立人らが憲法に基づき保障された権利・利益が侵害される旨の主張をするけれども、右主張は、独自の見解であって、採用することはできない。

したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件申立は、その主張自体に照らし、対象適格を欠く行為の効力停止を求めるものといわざるを得ないから、不適法として却下を免れない。

(裁判長裁判官松尾政行 裁判官綿引万里子 裁判官和久田斉)

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